Linkers & Loaders

前から欲しかったので経済的に復活してすぐに買って読んだ。

すばらしい内容。リンカを書けるような気になってくるがたぶん書けない。かといってプログラマの教養として読むには少し詳細すぎる気もしなくもない。そういう冷静な批判が読んでる最中には出てこない程度には面白かった。

感動したのはこの一節。 p.25「このような些細な事柄がリンカを作る作業を面白くするのだ」なるほどリンカというのはこういう人じゃないと書けないものだろうと思った。

別冊数理科学 数学の未解決問題

図書室で借りて。

ええと、最後の複雑系と数学、っていうのは凄く電波なものを感じるのは私の頭が悪いから?引用の仕方とかがいかにも閉じた世界っぽい雰囲気が…ちとぐぐって…あー…

証明とプログラムの統一というのは面白かった。数学者は行為として証明し、発表する際に記述としての証明に変換する。計算機はそのどちらも解することはできず、形式的証明しか解することしかできない。形式的証明の形に落とせば、計算機に証明を確認させたり代行させたりすることができるかもですばらしい。例えば四色問題は計算機によって最初に証明された部分があるし、ゲーデル不完全性定理は計算機によって検証されているらしい。ただ形式的証明は記述としての証明より大きく、そこに落とすのが面倒だとか、様々な理由で数学者は使ってくれない。ということで行為としての証明を支援するシステムを作ればいいとかなんとか。紙と鉛筆の変わりにそれを使えばいいとかなんとか。 maxima の凄いヤツみたいなのを作ってくれたらいいなあ。しかしそれは数学の未解決問題なのか?

リーマン予想とか Navier-Stokes とかは Clay の 100万ドル賞金でおなじみ。Shrodinger 方程式周りは難しいと聞いてたけどやはり難しいらしいとか。よくわかってないけど。

聞いたことはあった気がするけど、掛谷問題というのは面白いと思った。 http://www.hokudai.ac.jp/science/science/H16_08/sugaku/tachizaw.html くるくるくるりんというゲームがそれらしい。

あとは全然わからんものが多かった。世の中わかってないことが多くてすばらしい。それより自分がわかってないことが多すぎるのをなんとかしろ。

A near deterministic linear optical CNOT gate

http://www.hpl.hp.com/techreports/2004/HPL-2004-134.pdf

粗筋。従来リソースがバカみたいにかかって成功率激悪な CNOT ゲートも、こうすればリソースも少なく成功率も高くできますよー、って話、らしい。ただし成功したか失敗したかが判別できないらしい。具体的にどうするかはよく読んでないからわかってない。

On the Improvement of Frequency Stardards with Quantum Entanglement

http://arxiv.org/abs/quant-ph/9707014

粗筋。物理量を高精度測定しようという話。重力波をツカマエロ。 decoherenece を考えないのであれば、一番 entangle している状態が高精度。でも entangled state は decoherenece に弱いから decoherenece に強い対称性の多い少し entangle した状態を使えばいい感じ、とか。ここで紹介されている状態は最適な状態であるとは限らず、定量的な議論がないので、とりあえずなんか一個見つけたぜ、って話、だと思う。

entanglement の強さと測定精度に関係があるみたいに書いてあるけど、実はあんまり関係ないかもしれないらしい。

Weak force detection with superposed coherent states

http://www.hpl.hp.com/techreports/2002/HPL-2002-19.pdf

いろんな場合について測定精度がどうなるかを量子光学的に考えようという話。上の論文とは違って decoherence は考えてない。 entanglement は上の論文の場合は精度に影響してないけど、うまく利用する方法もあるとかないとか。

今月のCマガの千言万語

に join-calculus の話題が。知ったかぶりするにはうってつけ。千言万語だけ本にならんもんか。こっち系の話題では fusion-calculus とかも誰かわかりやすく説明して下さい。

とりあえずタスクシステムそっちのけで読んだ。

知識欲

Linkers & Loaders 読んでてドラゴン本も買おうと決意したりしつつ、知識欲が衰えてるなぁ…と気付いた。本を買うまでの時間待てなくて、ソース読んで知識を吸収していた時代の体力が無いな…とか。 GCC読み挫折中に本を買ってごまかすというわけだから。本は確かに知識の吸収効率はいいんだけど、なんというか勢いが。ウィンドウマネージャが気に入らないからってあちこちから落としてきては改造していた勢いが。

それと教科書とか論文読んでても気付く。途中式の変化とか、あーそーなるんだろーねー、と思って自分で計算を追うことを放棄することがなんと多いことか。深夜にがばっと起きて教科書を見て計算を追った勢いが。

ソース読むのが面倒だったら本でエッセンスを吸収しようとすることは良いことなのか悪いことなのか。難しい積分を見たら即座に公式集に手が伸びるのは良いことなのか悪いことなのか。

勢いをそいでいるのは身につけた要領の良さか。バカになれば勢いが得られるが、バカになると要領が悪くなるのが困りもの。要領が良くなるのも困りものだというはなし。

なにかあれば下記メールアドレスへ。
shinichiro.hamaji _at_ gmail.com
shinichiro.h