ICO

借りた。二周クリア。

おもしろかった、の、ですが、これはゲームのおもしろさじゃないかなあ…ゲームシステム的にはひたすらおつかい (ここを通るのにはあそこのスイッチを押す必要があってそのためには…) をこなさせるだけ、ワンパターンな行動しかできない自キャラ・異常に弱い敵とアクションシーンは死にようがなくめんどいだけ、とああこのふたつの要素しかない気がする。なんだ糞ゲーじゃないか。

ならこのおもしろさは何かというと冒険活劇を本で読んだりムービーで見たりする楽しみに近いのかなあと思った。実際そういう「おはなし」を盛り上げる演出はものすごくたくさんされている。とりあえず絵はすごく綺麗で統一感もあるし場面によく合っている。あまり飽きない程度に色々と仕掛けはある。多彩な少女の挙動、特にプレイヤーの動作に反応したり(プレイヤーがピンチな時は声をあげてくれたり)、時間の経過によって行動を変えたりする点は、それが AI と呼ばれているのはどうかと思うけどうまく表現ができていると思う。物語がたれないようにおつかいゲームにありがちな同じ場所の往復がほとんど無いのも良い。往復がないというのは冒険の舞台である城がとてもうまく設計されているということに起因しているのだろう。

たれないといえばプレイヤーの誘導の仕方もあざといというかうまいというか。ちょっと苦労しなければ行けない場所に何の意味もない、というのは Wizardry なんかの典型的な嫌がらせなのですけど、そういうのが全くない。プレイヤーは入念にあたりをチェックしたりする必要は無く、行くのに苦労しそうなところに行って、その周囲を捜索するだけでいい。

プレイヤーの誘導といえば、やけに長い通路の果てにある東西の闘技場は封印を開けるイベントの後に少女が勝手に先に入っていって、 ICO が追って入るとドアががしゃんと閉まって閉じ込められるのですが、ここで閉じ込めるストーリー的な必然性、例えばイベントの途中で帰られる変な状態になるなど、はたぶん全く存在しない。じゃあなんで閉じ込めるかなーと考えると、「プレイヤーが闘技場の中で進行に詰まって、ああ別の場所で何かしなきゃなのかなーと勘違いしてやけに長い通路を途中で引き返す」ことを防止するためなのかなと。まあもしそうなら良い配慮だと思う。

そういった演出表現を盛り上げる工夫と、盛り下げないための配慮を見てると、最初うざいと思った、説明書「イコは最初少女とどう接して良いのかわかりませんでしたが、やがて R1 ボタンで少女と手をつなげることに気づきました」なんていう表記なことも好ましく思えてくるから不思議だった。ゲームでこういう表現ができるってのはまあなんともすごいなあと思いつつも、これにさらにまともなゲーム性 (特にアクションシーンなんとかならんのか、後 Wizardry 的なミスリーディングも多少は無いと簡単すぎて物足りない) を加えることはできんのかな…というようなことを思った。

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